栗村博士の発明品(第3話) | ★デイリー・ロク★
|admin|RSS1.0| Atom0.3| はてなアンテナに追加| My Yahoo!に追加| Googleに追加|
「ゴキゲンに生きる」3000の知恵
おちゃらけ家族10年間の記録まだまだ更新中

栗村博士の発明品(第3話)

「諸君、今日私が発表するのは…」
と、栗村博士は言いながら
発明品にかけてあった覆いを外した。

「扇風機じゃ」

おおっ、と会場からどよめきの声が
上がるかと思ったら上がらなかった。

「ときどきすごい物を発明するから
 記者発表に顔を出しているんだが…」
「そろそろ博士も限界かもな」
記者席からひそひそ声が聞こえた。

その時一人の若い記者が手を挙げた。
「博士、その機械は
 小さな扇風機が3つ
 組み合わさっているだけのように
 見えますが」

「おお、よいところに気がついたな」

「いえ、見たままを言っただけです」

「うむ、それでこそジャーナリストだ。
 最近の記者どもは、
 何様のつもりか知らんが
 よけいな感想を付け加えすぎる」

「博士、ご説明をお願いします」

「そうじゃったな。
 だが、まずは口で説明するより
 実際にやってみた方がわかりやすい」

博士は、その奇妙な形をした扇風機を
部屋の隅に向けた。

そこには、コンクリートブロックを積んで
高さ2メートルぐらいの塀が作ってあった。

博士がスイッチを入れると、
ぶぅん、と音がして3つのモーターの
羽根が回り始めた。

「これが普通の風じゃ」

わかりやすくするために出ている
ドライアイスの煙が
壁に向かって一直線に流れている。

「そしてこれが・・・」
と、博士は白いボタンを押した。

すると、扇風機から出る風が
まるで竜巻のように
渦を巻いてうねり始めた。

そしてさらに
ブロック塀の背後に回り込んで
陰にあったバケツをひっくり返した。

おおっ、と会場からどよめきの声が
こんどは本当に上がった。

「驚くのはまだ早いぞ」
博士は言って、赤いボタンを押した。

風のうねりは止まり真っ直ぐになったが、
なにやら旗がはためくような音に混じって
重低音が聞こえてきた。

やがて風が強さを増していったかと思うと、
ブロック塀が大きな音を立てて崩れた。

「諸君。勘違いしないでほしい。
 風の強さで倒れたのではない。
 3つの扇風機の回転数を干渉させ
 波状の風圧で共振を起こしたのじゃ」
栗村博士は得意げだった。

「こ、これは、武器なのですか」

「いや、まだ実験の段階じゃから
 何に使えるかわからん。
 だが、少なくともこの機械は
 武器には使えん」

「…と、いいますと?」

「正面に生命反応があると
 危険を回避するように作ってある。
 たとえば、あそこにいる
 助手のレイコ君の方へ向けてみよう」

「あっ、博士、危ないことはおやめに…」

「大丈夫じゃ」

博士が機械をレイコの方へ向けた途端、
風速が急に遅くなった。

さらに、波状の風が竜巻状の風に変化し、
地を這うような動きでレイコの傍まで行き
足下で一気に吹き上げた。

「きゃっ」

レイコのスカートがめくれ、
下着が露わになった。

おおっ、と会場から
今日一番のどよめきの声が上がった。


「博士、セクハラですよッ!」
と、記者会見終了後の控え室で
レイコは栗村博士を睨んだ。

「いや、すまんすまん。
 風速はもっと
 遅くするはずじゃったんじゃが」

「『明日はきれいなパンツ履いてこい』
 って昨日おっしゃったのは
 こういう計画だったんですね」

「うん。しかしまさか
 真っ赤なパンツだとは思わなかった」

   だって勝負パンツなんだもん…」

「…え?」

「な、なんでもないですッ」


栗村博士の春はまだ遠い。


にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ
| 掌編小説 | | comments(0) |

コメント

コメントする










コメントをプレビューする?
ご利用のブラウザ、設定ではご利用になれません。




最近の記事
リンク
ブクログ
栗村博士の発明品
栗村博士の発明品  

 

Twitter
PR
アーカイブ
その他