遠い夏の日 | ★デイリー・ロク★
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「ゴキゲンに生きる」3000の知恵
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遠い夏の日

みゆきさん。

覚えておいでですか。


いつだったか
ひとに贈る草履を選んでもらおうと、
私と一緒に履物屋へ行ったとき

店の主人が
「奥様ですか」
と、

あなたのことを言いましたよね。


「ち、違いますよ」
慌てて否定する私と

口に手を当てて くすり と
笑ったあなた。


あなたはあのとき
どう感じたのですか。

何も思わなかったのですか。


白い日傘が目に浮かぶのです。

それから風鈴の音も。


正直に申し上げます。

あのとき私は
ほんとうは嬉しかった。


でも

私は
そんな私自身の気持ちに
気がつかなかった。

気づかないふりをしていた。


みゆきさん。

もう遠い夏の日のことです。

翌年の正月に帰省した折
婚礼の様子を母から聞きました。

きっともう
お子様も大きくおなりでしょう。


そういえば、あのとき買った雪駄、
結局は贈ることができなくって、
今も手元にあります。

あなたが手づから選んでくださった
雪駄ですよ。
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