栗村博士の発明品(第5話) | ★デイリー・ロク★
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「ゴキゲンに生きる」3000の知恵
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栗村博士の発明品(第5話)

霊が見えるようになった。

そうなのだ、
急に見えるようになったのだ。
何故かはわからない。

俺は知り合いの栗村博士の所へ
相談に行った。

「どんな霊が見えるんじゃ」
と、博士は尋ねた。

「いや、それがよくわからないんです。
 女房の肩のところに
 白くてぼやっとしたものが
 ふわふわ浮いているのが見えるんです」

「どうしてそれが霊とわかる」

「私に話しかけてくるんです」

「なんと」

「どうもそいつは、私の女房が
 むかし堕胎した子供の霊らしく」

「いやはや。
 で、奥さんは」

「事が事だけに妻には話してません。
 しかし、妻にそんな過去があったなんて
 ショックで」

「それはそうかも知れんが…。
 しかし、何故わしのところへ相談に来た。
 そもそも坊主か霊能者に
 持ちこむ話じゃろう」

「霊の存在が科学的に証明できれば、
 妻も言い逃れできないと思うんです」

「…なるほどな。
 よしわかった。1カ月後にまた来なさい」

「引き受けていただけますか!」

「次は奥さんを連れて来るんじゃぞ」

「はい!」

俺は明るい気持ちで研究室を後にした。


そして待ちに待った1カ月後、
俺は女房と一緒に
再び博士の研究室を訪ねた。

「よく来たな。
 これが霊視スコープじゃ」

博士はテレビカメラのような機械を示した。

「これで写したものが
 あっちの画面に映る」
と博士が指さした別室で
パソコンを操作しているのは、
二十代後半のすっげぇ美人だった。

「おっと、紹介しておこう。
 助手のレイコ君じゃ」

その美人が立ち上がって会釈した。

「あ、ど、どうも…」
俺もどぎまぎと挨拶を返した。


「さて、
 それではさっそく見てみようかの」
と、栗村博士はもみ手をしながら言った。

俺は、渋る女房を
健康診断とごまかして
機械の前に立たせた。

操作室を振り返ると、
博士とレイコ助手が厳しい表情で
画面を見つめている。

「ど、どうですか…?」
俺はおそるおそる近寄って行った。

「君、これを見たまえ。
 奥さんの肩のところに
 白い物体が浮いておる」
と、博士は言った。

「…」
俺は画面を食い入るように見た。

「なんだか気味が悪いですわね」
レイコ助手が眉をひそめる。

「そ、そうですね…」
俺はもう一度画面に目をこらした。

だが、そこに映っているのは
おびえた表情の女房だけだった。

白い物体など、何も見えない。

戸惑っている俺に
栗村博士が近づいてきて、言った。
「君の言うとおり、
 奥さんの隠し事が
 これで証明されたわけだが、
 これからどうする気だね?」

俺は気をとりなおした。

まあ細かいことは気にすまい。
この事実を女房に突きつけるだけだ。

「仕方がないです。離婚します」

「ほう」

「今まで妻は私を欺いていたんです。
 侮辱されてこのまま夫婦でいるわけには
 いきません。
 当然慰謝料も財産分与も無しです」

「そうか」

「博士、証人になってくれますね」

すると突然、栗村博士は
「奥さん、お聞きになりましたか」
と、機械の前にいる女房に向かって
呼びかけた。


えっ?

どういうことだ?


栗村博士がニヤリと笑った。

「君の計画は失敗じゃよ。
 たぶん愛人ができたかどうかして、
 慰謝料も財産分与も無しに
 離婚しようと思ったんじゃろうが、
 甘かったな」

「…」

「見栄っ張りで欲深なワシが、
 インチキな機械をこさえると
 考えたんじゃろうが…」

「…」

「あの画面には、白い物体など
 もともと映っておらんかったんじゃよ」


「…くそっ、あんなインチキ機械…」
俺は吐き捨てるように言った。

そしたら栗村博士は
「何を言う。あれは本物じゃ」
と気色ばんだ。

「え」

「実験段階で
 うちの助手のレイコ君を写したら、
 彼女にまとわりつく男の
 死霊やら生き霊やらが
 うじゃうじゃと」


・・・マジかよ!



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